教室での発表会/小学6年生Mちゃん
先月、小学6年生のMちゃんが、教室での発表会を行なってくれました^_^
受験を控えているMちゃん。全体の発表会への出演はお休み中なのですが、『教室での発表会』に向けて頑張ってくれていたのです!
ご両親様をお迎えし、演奏を披露していただきました♫
いつもと同じレッスン室ですが、やはり、発表するとなると緊張感が生まれます。
そんな中、目の前の音楽に集中し、心を向けて演奏できたMちゃん、その姿に胸が熱くなりました。
ご両親様にも喜んでいただき、たくさんの拍手を送ってくださり、私も嬉しかったです。
演奏を終えたMちゃんは、本番のプレッシャーから解放されホッとしたことでしょう!
よく頑張りましたね♡
さらに、Mちゃんにはもうひと頑張りしていただきました…!
教室には、グランドピアノとアップライトピアノがあります。
Mちゃんは普段から、両方のピアノを使い、その音色や響きの違いを楽しみながら練習しているので、それを是非、ご両親様にも聴いていただきたい…!と思い、アップライトピアノの方でも、演奏をお願いしたのです。
(事前の相談では、録音して聴いてもらうことにしていたのですが、Mちゃんの美しい音の響きを聴いていると…どうしても直接聴いていただきたくなり…!私のわがままを聞いてもらいました!)
人前で演奏するというのは、一人で練習している時とは比べ物にならないくらい、たくさんのエネルギーを使います。
一度本番を演奏した後に、もう一度なんて、とても大変なことですから、本当によく頑張ってくだいました!
そもそも、人前で披露することをあまり好まないMちゃんですが、今回こうして披露することを選び、そこに向けて練習を頑張ってきたことにも拍手を送りたいです。
聴き終えたご両親様の「これは聴かせないと!^_^」という言葉にも、私はじーんときました。
Mちゃんは、そのピアノの違いをこう表現してくれたことがあります。
実は、グランドピアノ(YAMAHA)は、私が中学生の頃から弾いているので何十年…と年季が入っています笑。アップライトピアノ(SAUTER)は、購入してまだ7年くらいです!
という事情が関係するのかは分かりませんが、それぞれのピアノの個性を感じ取れるって、とてもステキですね^_^
実はこのアップライトピアノの『SAUTER』は、弾きにくいと感じる生徒さんの方が多く…!
反対に
と、その理由は様々です笑。
構造の違い、メーカーの違い、弾き慣れているかいないか(打鍵力)も関わるのかなと思いますが、そのピアノを、自在に弾きこなせているMちゃん、すごいと思います!!
私はこの『SAUTER』の明るくキラキラとした響きに惹かれ一目惚れだったので、Mちゃんが、同じような印象を持ち、その音を気に入ってくれているのもなんだか嬉しいです^_^
そんなMちゃんとのお付き合いも、早いもので7年目になります。
Mちゃんが、ずっと変わらず持ち続けているのが、素晴らしい想像力。
音楽を聴いて、絵が描けるくらいにすぐに場面が思い浮かぶタイプですが、最近は、それを演奏に反映させようという想いが、より強くなってきたなと感じます。
今回演奏していただいたのは、ドビュッシーの「月の光」。
「夜」「湖」「空の月と湖に映った月」「波紋」など、Mちゃんの中では、もう最初からイメージが湧いているようでした。
それを、音に落とし込むため、打鍵の違いで音がどう変わるかを聴いてもらった時のことです。
素敵な表現に感激しました。
さらに、練習が進み、最後の音を出す時の、打鍵の向きについて相談していると、
そして、
さらに、
夜の時間の長さまで、音楽とリンクさせていて驚きました!
ある時は、音が上がるか、下がるかといった音の動きによって、情景だけではなく、心情にも移り変わりがあることを、一緒に弾きながら体感してもらったのですが、
イメージが、より広がったようでした。
そして、
と、今度は、自分が表現することに視点を置いた言葉が飛び出しました。
音の動きを体感しながら演奏できた時に、自分も自然に身体が動くことに気付いたんですね。
すると、
と言うのです。
感動しました…!
それが、どんな音楽か感じ取るのは、Mちゃんにとって容易いことです。そういったことを思い描きながら弾くのが楽しい。それでも充分ステキなことですが、相手に伝えるために弾く。しかも分かりやすく。だから、強弱や音色、打鍵の仕方や方向にたくさんの種類がある。そういったことが、結び付いた瞬間だったのかなとも思います。
そして、日頃、私は「表現する」というひと言で片付けてしまっていたことに気付きました…!
Mちゃんが言葉にしてくれた通り、相手に分かるように伝えるって大事ですね。そのために、自分も、分かろうとするし、伝える手段を磨くんだということ、心に留めておきたいと思いました。
このような様々な発見を、すぐ知らせてくれるのもとても嬉しいことです。私もたくさん刺激を受けています^_^
今回の練習で特によく目にしたのが、理想の音に近付けようとしている場面です。
弾いた音が「なんか違うなぁ?」と思った時には、立ち止まって弾き直していました。
音や指を間違って弾き直すのとは、全く意味が違います!
「指のコントロールが上手くいかなかった…
」とか、「ペダルのタイミングが違った!」とか。些細なことでも、音の響きは変わりますから、自分の演奏をよく聴けている証拠ですね。
新しい場面を練習している時には、こんな事もありました。
何度も弾き直すのですが、答えが見つからないように見えたので
「なんかイメージと違う?」
と聞くと
と困った様子だったので
「もしかしてこんな感じ?」
と、私のイメージで弾いてみると、
「うんうん!」と大きくうなずき、またトライし始めました。
音を聴いて理解したことを、自分で言葉にしながら弾いていたのにも感心しました。
「右は響かせるけど左は優しく弾いて、でも右もすぐ優しくして…」と。
私は、具体的に「こうやって弾くんだよ」と言葉では説明していないので、音でやり取りができているなぁと、とても嬉しく思いました^_^
それに、もう最初から音のイメージを大事に弾こうとしている所が、何より素晴らしいです!!
これからも、その感性を磨き続けてほしいなと願っています。
最後に…
Mちゃんに、後日インタビューをさせてもらいました!
Q.「月の光」のイメージは?
A.ドビュッシーは、夜の長さ、夜の表現を強く出してるように思う。夜は、星とか月とか光もかイメージできるけど、ドビュッシーは自分だけの世界を作り上げたいと思ってて、そのためのパーツの一つなんだろうなと思った。
Q.この曲の好きなところは?
A.テーマとアルペジオ
Q.弾く時に、難しかったところは?
A.アルペジオのスピードの加減。スピードをコントロールして表現したいように弾くのが難しかった。
Q.おすすめの練習法はありますか?
A.音楽のイメージをすること。イメージしたことを、頭の中で映画館みたいに流す。
Q.ピアノの好きなところは?
A.言葉じゃないもので表現するところ
改めて、Mちゃんの頭の中にはたくさんのイメージに溢れているんだなぁと、なんだかワクワクしました!
自分が受けた印象だけではなく、作曲家が、その作品に託した情景や心情を、こんなにも汲み取ろうとしている…その感性もステキですね^_^
そして、それを、言葉ではなく、音で表現するのがピアノの好きなところだと聞き、感激しました。
それこそ、何百年も前の作品が、今もなお演奏し続けられている理由の一つかもしれません。
時代が変わっても、現代と共通する変わらないものが、きっと音楽にはたくさん込められているんですね。そういったことを、キャッチして表現しようと音楽に向き合ってきたこと、本当に素晴らしいと思います。
そして、誰かの前で、特に親御さんの前で演奏するというのは、特別な事なんだなと、改めて感じました。
お父様もお母様も「すごかったよ!」「良かったよ!」と声をかけてくださり、Mちゃんがピアノを始めた幼稚園生の頃を振り返りながら、色々とお話くださいました。
向上心の高いMちゃんなので、演奏直後は「もっとこんな風に演奏したかった」と、自分では納得できていない部分に目がいったかもしれません。
しかし、「すごかったよ!」「良かったよ!」という言葉が、その演奏を表していると思います。ちゃんと伝わったんだと思います。
これからも、Mちゃんが感じている『言葉じゃないもので表現する』ピアノの魅力を、存分に味わってもらえたら嬉しいです^_^