レッスンでは、自分の力で楽譜が読めるように練習していきます。
音符は文字、楽譜は本と同じです。
文字が分かれば本が読めるように、音符が分かれば楽譜を読むことができます。
この時、自分の力で「分かる!」ということを経験するのが、とても大事です。
もちろん、楽譜がなくても読めなくても、音楽を演奏することはできますので、音楽の世界において、楽譜が絶対!!というわけではないのも事実。
ただ、楽譜を見て実際の音に変換できることはひとつの大きな能力です。
また、楽譜には、たくさんの情報が書かれています。その情報を、少しでも速く!多く!深く!読み取ることができるようになってもらえたら嬉しいなぁと思います!
そのために必要なお勉強が、ソルフェージュ♪
こちらは、みなさんに使ってもらっている教材です。後半のソルフェージュのページでは、楽譜を読むこと、弾くこと、歌うことなど、音楽の基礎を学べるようになっています。
知識のみを学ぶのではなく、実技に繋がっているのが特徴です。
宿題にはしていないので、レッスンに来て初めて見る楽譜に取り組むことになるのですが、どの生徒さんも、自分の力で楽譜を読んで弾くことができるようになっています!
さらに、私からの課題は、歌いながら弾くこと…!
歌いながら弾くのは難しいですが、たくさんの良い面があります。そのうちのひとつは、神経の伝達が速くなることです。
楽譜を見て、弾いて、その音が合っているか分かるまでの間には、たくさんの神経が行き来しています。
↓
何の音か分かったら…脳
↓
鍵盤のどこにあるか確認して…目
↓
どの指を使うか決めて…脳
↓
弾く…指
↓
弾いた音を聴く…耳
これを通常は1秒かからないうちに繰り返し行なうのです…!
ピアノを始めたばかりの時は、一音弾くだけでも時間がかかるものですが、それもそのはずですね。
歌いながら弾く、となると…
↓
何の音か分かったら…脳
↓
鍵盤のどこにあるか確認して…目
音を言う準備をして…口(言葉)
↓
どの指を使うか決めて…脳
歌う準備をして…口(息を吸って)
↓
弾く…指
歌う…口(声)
↓
音と声を聴く…耳
文字で表すと見ているだけで混乱してしまいそうです…!
慣れるまでは、ゆっくりで大丈夫。
このサイクルで弾けることを体感するのが大切です。繰り返し行うことで、それぞれの反応が速くなり、神経の伝達も反応も良くなっていくのです!
ソルフェージュとは、一般的に「新曲視唱」「聴音」「楽典」と捉えられています。
「新曲視唱」とは…
ソルフェージュの教材で扱われているのはこれがメインです。レッスンでは、歌いながら弾いてもらっています。
聴いた音を楽譜に書き取ること。レッスンでは、聴いた音を歌ったり弾くことから始めます。
音楽の基礎知識です。レッスンでは、音楽ノートの宿題や、楽典テストで学んでもらっています。
演奏とは少し離れる内容ですが、ソルフェージュの力は、音楽を演奏をするためには欠かせません。ステキな演奏をするための、土台作りのようなものかもしれませんね!
今月は、そんなソルフェージュが得意な小学2年生のWちゃんを、ソルフェージュに取り組んでいる様子を交えながらご紹介しようと思います♫
①新曲視唱
レッスンでは、「新曲視唱」のピアノバージョンといったところでしょうか、「初見演奏」に取り組んでもらっています。
例えば、「リズムとソルフェージュ」の2巻に出てくるこのメロディ。
Wちゃんは、このような譜面をぱっ!と見ただけで、ほとんど一度で正確に弾くことができます。
元々、音を読むのが速いWちゃんですが、最近では、最初から歌いながら弾けるようになりました!
普段弾いている曲の中でも、ドレミで歌ったり歌詞で歌いながら弾く練習はお手の物!
歌は、音楽の流れを教えてくれます。歌うことによって音楽の流れが体感でき、演奏にも生かせるのです。
歌は、指にとっての先生になると言われています。歌うことが得意な方はたくさん歌うといいですよ^_^
また、この「初見演奏」には先読みする力も必要です。今、弾いているところよりも少し先を見てイメージできる感覚…。
本読みが得意な方はぴん!とくるかもしれません。楽譜も同じです!
本読みが好き、得意な生徒さんは、「初見演奏」もきっと好きに得意になると思います^_^
「リズムとソルフェージュ」に出てくる課題には、先ほどのメロディ以外に音を読む課題があります。
ここでは、いかに速く読めるか…!
私も追い立てるように丸付けをし、ちょっとプレッシャーをかけています笑
Wちゃんは、こんな風に音があちこちにとんでいても、私がプレッシャーをかけるひまもないくらい素早く答えられました!!
次の音を先読みしているのもよく分かりますね。
音を読む課題には、こんなものも。
これも、その場でぱっ!と音を読んで弾いてもらうのですが、1回目とは思えない速さで驚きました。ので、もう一度弾いてもらい、撮らせてもらいました!
ヘ音記号であっても、♯(シャープ)も♭(フラット)も、よく確認して指も思い通りに動かせています。すごいです!!
「初見」の能力が上がってくると、楽譜を読むことが楽しくなってくるのではないかな?と思います。
新しい本を手にした時、「どんなお話か早く読みたいー!」と思うのと同じように、新しい楽譜を手にした時、「早くどんな曲か弾いてみたいー!」と、わくわくした気持ちになってもらえると嬉しいです^_^
②聴音
これまでに、色々なパターンの聴音に取り組んできました!ランダムな音の並び、メロディ、和音…などなど。
また、聴き取ったメロディに伴奏を付ける事も。
これは、みなさんも練習しているカデンツの中の和音を付けることを想定して課題を出します。
しかし、ある日のレッスンのこと。
Wちゃんは、私の予想に反してオシャレな和音を付けていたのです!
てっきり、日頃練習しているカデンツの中から選ぶだろう…と思っていた私は、Wちゃんの発想に、はっ!としました!
カデンツを前もって学んだり練習することは、理論だけではなく、演奏する時にとても役立ちます。
ただ、自由に伴奏を付ける時には、学んだ和音を使うも使わないも自由で、むしろ、自分の思い描く音を生み出せる方が素敵だなぁと、感心しました。
カデンツが得意な生徒さんは、メロディに伴奏を付けるのも楽しいので弾いてみましょう^_^
新しい和音や素敵な和音を見つけたら、ぜひ教えてください!!
③楽典
楽典は、「楽典テスト」のプリントを宿題で学んでもらっています。
Wちゃんのプリントからは、楽しんで解いている様子がうかがえます。
同じ高さの音をつなぐ、「タイ」という記号ですが、見ようによっては笑顔のように見えます。
Wちゃんは、「ニコニコ」と書き添えてくれていました^_^
楽典テストでは、音符や休符だけではなく、「タイ」のような音楽記号、音と音の幅を表す音程、調の仕組みなど、様々なことを学んでいきます。
進めば進むほど、難しい言葉もたくさん出てくるので、音楽の知識として、興味を持ちながら学んでくれるだけでも嬉しいのですが、演奏にも繋げられるのがWちゃんのステキな所です。
音楽記号や音楽用語も、楽譜に書かれている大事な情報として音符と一緒に読むことができ、それを表現できます!
弾くことに夢中になると、ついつい音符に気を取られ、その他の記号が見えてなかった…!なんてことはよく起こりがち…
新しい曲に進んだら、音楽記号や音楽用語が、楽譜のどこかに隠れていないか…!?探してみましょう^_^
このように、「初見演奏」「聴音」「楽典」といったソルフェージュの力が、とてもバランス良く身に付いているWちゃん。
「目で見て、認識して、指で弾いて、歌って、聴く」という神経の伝達が、速くスムーズにまわっています。と同時に、音楽を感じることや表現することを大事にできるのは、Wちゃんのステキな所です。
幼稚園生の頃から、よく考えながら弾いていたのを思い出します。
そして、音楽の持つ色合いや、音色にも意識が向けられていました。
お家での練習で「思うような音がでない…!」と言っていたこともあったそう。
まだ幼稚園生の時でしたが、その感性の高さに驚いたことがありました!
理解力や記憶力も高いWちゃんは、お家での練習も自分から進んで、宿題の次の曲でもどんどん弾いてくれていたり、「もうがくふみないでひける!」と覚えてくれていたり…
今でも、こんな風にお知らせしてくれます^_^
ソルフェージュの力が、ステキな演奏をするための土台になるとしたら、彼女の素直な感性は、音楽のステキな所を見つけられるセンサーのようです。
Wちゃんは、楽譜から、その音楽から、どんな場面かな?どんな気持ちかな?と想像を膨らませることも得意!
などと、音楽に合った言葉がポンポン飛び出します。
明るい曲調が少し暗くなった所では
と、その音楽に気持ちを落とし込みストーリーにしてくれたことも。
Wちゃんの、素直な感性を垣間見れた嬉しい瞬間でした!
彼女自身のレベルが上がるにつれ、曲のレベルも上がります。音の数が増え、曲も長くなり、新しいことも難しいこともたくさん出てきます。
感心するのは、どんなに難しくても、楽しみながら(時にはケラケラと笑いながら!)練習に取り組めること。その練習を自分の中に取り込み、コツコした努力も惜しみません。
練習そのものを純粋に楽しめるって、とってもステキなことですね。
自分の中に取り込めるのは、理解力や記憶力の高さもさることながら、自分の頑張りたいことに目が向けられる素直さがあるからこそ。素晴らしいと思います。
昨年は、リモート合奏にチャレンジしてくれたこともありました!
そして、最近のチャレンジは「メロディ作り」♪
先日作ったのがコチラ↓
(かける時間は数分です!)
思わず口ずさみたくなる素敵なメロディができました!
今回、初めて題名を付けてもらったのですが、ピッタリ!とりの鳴き声ピヨピヨ…と聴こえてきますね。
これに伴奏を付けてもらいます。
(これもその場ですぐです!)
ぱっ!と思い浮かぶ反応の速さとさすがです!
Wちゃんのステキな感性を、また違った面から知ることができました^_^
これからも、ピアノを楽しみながら、ソルフェージュに素直な感性、益々磨いていってもらえたらいいなぁと思います!!
「夜になった!」
「寝てる!」