レッスンでは、音階(スケールを練習を行なっています。
長調は、全部で12種類ありますが、最初は、こちらの6つの調を1オクターブを両手で弾くことが課題です。
この練習は、楽譜を読むことが目的ではないので、あえて楽譜を使わずに、その場で覚えてもらっています。
覚える…と思うと難しく感じるかもしれませんが、
鍵盤の並びに慣れ、使う音や指使いが分かれば、幼稚園生でも練習を始めることができるのです!
今月のミニブログの方では、年少の生徒さんが小さな手で音階練習を頑張る様子を、少しご紹介しておりますので、よければぜひご覧ください♪
この音階練習を始める前に、まずは音階を歌ってもらいます。
そして、こちらの質問に答えてもらうのですが…
「何の音に#が付きますか?」
「何調ですか?」
パーフェクトに回答するのは、なかなか難しいことです…!
ここでは、小さいうちでも音楽の言葉に触れて慣れてもらうことを目的にしているので、全部言えなくても覚えていなくても大丈夫。
音階の仕組みや、#の付く順番、日本語でのドレミファソラシドなどを学ぶと分かるようにります。
しかし、中にはこの質問にスラスラと答えられる生徒さんも…!
#が5つのロ長調に進んだ時でも、パーフェクトに回答できたのが、小学生のYちゃん。
それは、まだ彼女が幼稚園生の時のことでした。
「シ!」
「ド、レ、ファ、ソ、ラ!」
「ロ長調!」
「なんで分かったの!?」と驚いた私ですが、本人はけろっとしていて、なぜ?と聞かれても分かるものは分かるようです。笑
調性に対する感覚が優れているのだろうなと思います。Yちゃんの才能です。
もちろん、弾くのもとっても上手で、幼稚園生のうちに6つの音階を全て弾きこなすことができました!
このように、自分自身の感覚で分かることやできること、人より得意なことなど、誰もが何かしらの才能を持って生まれています。
ただ、本人にとっては、分かること、できることが当たり前なので、それが才能だというのは気付きにくいかもしれません。
音楽やピアノを通して、みなさんが持っている才能を見つけたり伸ばしたり、そんなことがもっとできればと思っています。
さて、先ほどのYちゃん。
何事にも感覚の鋭い彼女が、音を聴いた時にどんな事を感じ取っているのか??レッスンの様子も交えてご紹介したいと思います♫
聴奏とは、私が弾いた音を聴いて、その後すぐにまねして弾く、耳のトレーニングです。
耳のいいYちゃんにとってはお手の物!
聴こえてくる音に耳を澄ませ、止まることなく弾けます。
ちなみに、この時はト長調でした。
「ファ」に#が付く調ですので、黒鍵も使います。
このファの音が「ファ」と聴こえるか、それとも「ファ#」と聴こえるか、そしてそれが鍵盤と一致するかが鍵となります。
もう一つ、Yちゃんのいい所は、音の終わり方まで聴けていることです。
メロディーの最後を、長めにのばしたり短く切ったり変化をつけて弾いても、その変化をちゃんと聴けてパーフェクトにまねできています。
「ド」とか「レ」のような、何の音かを聴くだけではなく、メロディー全体を捉えられていて素晴らしいです!
その様子がコチラです。
普段、曲の練習をしている時にも、Yちゃん感覚の高さが見られます。
生徒の皆さんには、その曲に合った音で表現できるようになってほしいので、私が弾いた音を聴き比べてもらうこともあります。
と順序立てて一緒に考えていくのですが、
Yちゃんの場合は…
「どちらの音が、曲に合っていると思う?」
と質問しながら弾いてみせると
「ほうほう!」
とうなずき、Yちゃんがいいと思った弾き方で、すぐに、同じように弾いてみせてくれるのです!!
音の違いを聴くだけでなく、その弾き方まで感じ取れるのは、Yちゃんの感覚の高さならではだと思います。
聴き取れたとしても、弾き方が分かるとは限りません。聴くこと、弾くことはまた別の力なのです。
Yちゃんは、聴き取った内容をそのまま指に伝えられるので、弾き方が分かるのでしょう。
こんなこともありました。
Yちゃんが弾き終わった後、私が楽譜に書かれた音符を指差して「ここは…」と弾き方を説明しようとすると
「分かった!」
私が何も言い終わらないうちに、「こうでしょ?」と弾くYちゃん。
「その通り!」
一を知って十を知ると言いますが、この時は一も言わないうちに「ここは…」だけで全て伝わりました笑
音がだんだん上がっていく時には、音のエネルギーも上がっていきます。この時は、それを感じて弾けるといいなと思ったのですが、楽譜には特にそのような指示が書かれているわけではないので、楽譜の音の並びから感じ取るか、音楽を聴いて感じ取るかのどちらかです。
Yちゃんが、その事を説明されなくても分かったのは、すでに、音のエネルギーが上がっていくというイメージを持てていたからでしょう。
イメージを持てていたとしても、自分の弾き方が聴けていないと比べることも差を埋めることもできません。
イメージを持つことに加え、さっきの自分の弾き方をちゃんと聴けていて覚えていたからこそ、ピン!ときて弾き直すことができたのかなぁと思います。
Yちゃんが幼稚園生の頃、発表会でお母様と連弾をしていただいたことがあったのですが、お母様の伴奏がとても音楽的でした。
音の並びに沿って音のエネルギーが上がったり下がったり、フレーズの最後の表現など、とても綺麗な演奏だったのです。
そのことを思い出しました。
Yちゃんも、音楽を聴いて感じるそのイメージを自分の中に持てているのかもしれません。また、それを指に伝えて、自然に演奏につなげることができるのは、お母様同様彼女のすごいところだと思います。
そういった感覚が遺伝しているとしたら、世界に一つだけのギフトですね。
Yちゃんは、曲を覚えるのも得意です。
ある日のレッスンのこと。
発表会の曲を練習していた頃なので、普段よりレベルの高い曲だったのですが、練習を始めて1週間でメロディを全部覚えて弾くことができていました!!
そうなると、次は両手。
でも急にはちょっと難しいので、今日は左だけと思い、左手の伴奏の形を少し一緒に練習しました。
すると…
自分で楽譜を見て、今弾いた左手の音が右手のメロディのどこと合うのか?音符を指さしながら確認し始めるYちゃん。
そして、自分から両手で弾いてくれたのです…!
私はその姿に感動しました。
Yちゃんは、指がとってもよく動きます。特別な練習を重ねなくても指回しが上手なのでこれも彼女の持って生まれた力です。
利き手の能力が高い、つまり指がよく動かせる生徒さんほど、逆に利き手ではない方の動かしにくさを感じやすくなることがあります。
Yちゃんも、利き手のように動いてくれない左手に、苦手意識を持っていました。
左手が担当する低音域は弦が長いので、高音域に比べて鍵盤が重くなります。手が大きいと、力でカバーしやすい面がありますが、手の小さいYちゃんにとっては、鍵盤を弾くだけで大変だったと思います。レベルが上がると音の数も増えるのでなおさら。
そんなYちゃんが、楽譜を見ながら両手を一緒に弾くのです。
得意な耳の感覚だけではなく、楽譜を頼りにできたこと、そして自分の意思で自分の力で苦手意識を乗り越えて弾けたこと、よく頑張ったなぁと思うと、とても嬉しくそして頼もしく感じました。
これからも、様々な経験を通して、またたくさんの音楽に触れる中で、ますますその鋭い感覚が磨かれることでしょう。そうやって培われる感覚は、Yちゃんだけのステキな宝物ですね。
時間さえあれば、お家でずっとピアノを弾いてることもあるそうですが、その没頭する姿が思い浮かび、嬉しく思います。弾けば弾くほど上達し、上達したらもっと楽しくなり、もっと音楽を好きになるだろうなぁと、これからもますます楽しみです。
好きな事に没頭できる、というのも素晴らしい才能ですね!
「その音を出すにはどんな弾き方をすればいいかな?」